歌:二葉百合子
作詞:横井弘
作曲:遠藤実
(セリフ)
「ああ、あれから何年いいえ、何十
年たったことでしょう。笠戸丸のデッキから
万歳、万歳と声を限りに叫びつづけたのが、
まるで昨日のことのようでございます」
行くも送るも 血を吐く想い
叫び続けた あの日の港
錦かざって
帰る誓いの 真赤なテープ
波に千切れりゃ ああ ふるさとの
旗も泣いてた 笠戸丸
つらい長雨 つれない旱(ひでり)
祈る両手を 突きさす夜風
意地をたよりに
他国ぐらしを 堪(こら)えて来たが
いつも偲ぶは ああ ふるさとの
祭り囃子よ 藁の屋根
(セリフ)
「血の滲むような苦労の毎日で
ございました。桜の季節が来るたび、雪
の便りをきくたびにせめて一度、一度だ
けでいい。この足でふるさとの土を踏んで
みたい……しきりに思うのでございます」
盆にゃ行けるか 正月頃か
噂きくたび 心がうずく
遠くはなれて
積り積った 思いを数を
夢のふるさと ああ ふるさとの
山に向って ぶつけたい
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